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  • 2016.08.08 Monday
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    精神科における予診・初診・初期治療-1

    精神科・心療内科での予診・初診・初期治療についての本。笠原先生は精神科医で,退却神経症の提唱者。今回はこの「精神科における予診・初診・初期治療」のレジュメを作成したいと思う。自分への戒めを込めて。レジュメを作るだけでは物足りないから,自分自身が考えたこと,体験したことを織り交ぜながら作っていきたい。

    ここでは「第1章予診,2.予診の持つ3つの機能,3.予診をとるあたっての総論的なことがら(pp.4-23)」をまとめる。[ ]内は自分が考えたこと,体験したこと。

    予診の持つ3つの側面

    予診には3つの側面がある。

    1. 教育的側面…練習
      先輩や同僚から指南や示唆を受ける一方法として。
    2. 情報提供的側面…情報収集
      普通に行われていること。
    3. 初回面接的側面
      予診者という最初に出会う医療者の一挙手一投足について,病人やその家族は強い関心を持っている。

    予診をとるにあたっての総論的なことがら

    1)Pt.に先に会うか,付添者に先に会うか

    予診の情報収集機能を重視する立場からすれば,付添人を先に招き入れるのは穏当。特に身近な家族が付添いの場合にはそれなりの理由があるのが普通だから,先に話を聞く。本人に会うとしても,家族から得たアウトラインを補足する意味で従とする(ex.Pt.自身でないと分からない睡眠・食欲・便通・性欲について)。病人自身を診るのは初診者だから,予診者はそれほど詳しく病人を診る必要はない。

    ただし,例外的な場合もある。
    家族によって嫌々来た青年:Pt.との信頼関係…青年に先に会う。ただし,その旨を予診カルテに記入。
    軽症うつ病など,精神科へ行く必要がないという家族にPt.の方が無理矢理頼んでついてきてもらう場合:Pt.が「甘えているんでしょう」などの認識…当てにならない情報
    家族でなく会社関係の人:管理者という目で得られた情報…フィルターをかけて聞く必要
    児童期[学童期]の子どもがPt.の場合
    付添人が妄想的な曲解をもつというまれな場合
    本当の付添人が病人の役割を引き受け,本当の病人を付添人に仕立てて,自分が連れてきたという演出がなされている:夫婦間の嫉妬妄想や家族への被害妄想の場合
    2人での妄想,家族での妄想,[二人組精神病]

    合同面接をしない理由

    ex.家庭内暴力の少年と母親。
    「実は…」が初診時or何回か進んだ後に出て来る可能性。
    遺伝歴を家族がいると話し辛い。

    家族からも聴取する場合は,家族の言ったことと,Pt.自身が言ったことの記述をきちんと分けること。

    [自分自身が行っている病院には病院の特性上,神経症圏から境界例のPt.しか来られない。そのため,原則的には家族が付添われている場合は家族+Pt.で予診をとっている。そのときのPt.のエネルギーの度合いにあわせて,また,どちらがより話をしたそうか(2人の中での役割で,外向・内向のパワーバランスがどうなっているか)を考慮して話をしてもらう。付添人に主に話をしてもらう場合は,合間合間にPt.に確認をとりながら。もしこれが単科精神科病院で,精神病圏のPt.が多く来る場合では,上にある様な形態が適切かもしれない。また,時間と人員が許すならば,大学の心理相談室でよく行われている様に(うちだけかもしれないが…)合同→並行→合同という様なかたちで予診をとることができればいいのかもしれない。]

    2)「これは予診です」

    これは予診であって,本診は後であるから「だいたいのところ」を話してほしいことを冒頭or途中でも随時告げる→状況の規定,[構造の設定 limit setting]。
    理由1. 時間的制約:予診は短い時間で仕上げないといけない。
    理由2. よくある初診者的失敗を免れるため:陳述者の持つ細部拘泥性・強迫性に引きずられて,実際はそれほど必要でない局部にこだわり,全体の情報を聞けないということを避ける。「全体のゲシュタルトを描く」ことこそ予診の仕事。

    予診にメモを持ち込む家族

    長くかつ緻密なメモを持参し,目を通すことを要求する人も。この場合もアウトラインを聞かせていただければよいこと,主治医が必要と認めればメモを入念に拝見するであろうことを告げる。

    予診の時間

    全く初めての医学生には1時間,内30分で話をきき,30分でカルテに記述する。経験を積むと所要時間は短縮されるが,どうしても長くかかるケースも。

    [自身の予診を振り返ってみると,だいたい30分前後で話をきいている。毎回,「今から大体のお話をお伺いして,カルテを作成します。その後,医師の診察となります」と説明している。紹介状がある場合はだいたい目星をつけて必要なことをきいてから,時間とPt.の様子をみながら,補足的なことがらをきいていく。場合によってはCMIやSDSやSTAIといった自記式質問紙を実施することも。難しいのは,「よく分からない」人。“何となく”眠れないから来てたり,会社の上司に言われたから来てたりすると,まずPt.の困っていること(主訴)が何なのかをはっきりさせるのに時間がかかる場合がある。そういう場合で,主訴が身体因によるものでない場合,Pt.自身や付添人が環境因,心因を思いつく・思い出すのが難しかったりする。そして,付添いの家族がものすごくよく話すんだけど,そのまとまりがなかったり,メモを持ってきてはいるけどまとまりがなく乱筆で何が書いてあるか分からない様な場合。こちらとしては体系立てて時系列に物事をきいていこうとするけど,それに乗っかってくれない。話が脱線する。こっちも頑張って軌道修正しようとするけど,だんだんエネルギー切れになり,拡散する一方ということに。こういう場合,話をきくのに4,50分かかり,カルテに記入するのも時間と労力がかかることに。この「まとまりのない付添人」ということ自体が情報になり得るんだけれども…。あと,Pt.が自身の症状の話にすべて持っていく場合。初発の時期であったり,症状の波であったり,その頃の体調であったり医療機関への受診であったり,ライフイベントであったりをきくんだけれど,その度に症状について伝えてくれる(ex.どう眠れないか,どこがどう痛いかetc.)。症状については基本的に一番最初にきいているから,繰り返し繰り返し聞くことになる。こういう場合も時間がかかる。でもこの部分は難しいところで,症状が変化していることを伝えてくれている場合もあって,これは重要な情報。この塩梅が難しい。「これは予診です」ということをいかにPt.に伝えるか,どこまで予診できくか。これはこれからずっとつきまとう課題かもしれない。]

    3)外国語と専門用語を使用しない

    精神科・心療内科に関する限り,Pt.や家族の語りを学術語(ex.離人症,anxiety,hallucination etc)に置き換えることは,予診の価値を半減させる。頭痛の表現であっても人それぞれであるが,離人症などという内面症状では個人差が大きく,表現の方法も様々であり,学術語に置き換えてしまうと無意味に。また,家族の陳述だけから幻聴,大発作,空笑ありとするのも危険な判断。離人症よりも「外界が生き生きと肌で感じられない」「ピントが合わない」と記述したり,空笑ありではなく「ときどき理由もなくニヤッと笑う」と記述する。できるだけ具体的に生の声を。

    [ついつい使ってしまう術語。そして符号化(ex.「最近,何かする元気というかエネルギーがなくなった感じがして」→「energy↓」etc.)話をメモする時に術語で書いてしまうと,それをついカルテに書いてしまいたくなる。でも確かに,語りを語りとして記述する方が予診としては有益かもしれない。反面,まとまりのある予診カルテを書くことが難しくなるかもしれない。バランスが難しい。]

    4)家人はえてして心因論者である

    多くの家族は病人の心の障害に心因を見出したがる傾向がある(ex.発祥は心因で,しかも自分たちの責ではなく第三者にあると他責的な母親)。明らかに誤診と分かる場合でも,予診者は陳述者の陳述の「持ち味」を損なわずに記述すべき。

    精神的不調の原因を,身体疲労や身体疾患に求める人も少なくない。うつ病の場合,抑うつ,抑制,朝の無気力,周囲への興味の喪失,決断能力の低下などのすべてが「睡眠障害」の結果で,睡眠障害さえ治してくれればいいと主張することも。仮面うつ病ではその考えは身体科医によって支持されてしまう。このような情報が予診に書いてあれば,初診者は初診時にどの説明に時間をかければいいかを知ることができる。

    医療者側からみると心因・誘因・引き金にみえるものも本人や家族が否定する場合も。しかし,真偽の判断,どこまで本人・家族に関心を持ってもらうかは初診者の仕事。

    [病院に勤務していて,この「心因論者」ということはあまり感じない。むしろ心理の勉強をしていると医療者側であるこっちが何でもかんでも心因に見えてくるので,心因だけをきいてしまわないように,バイアスができるだけかからないように努力しているつもり。予診者の仕事として心因を訴えているならその部分を詳しくきいて,あまりにも身体因・環境因の供述が少なければ補足的に質問する程度でいいんだと思う。]

    5)予診は陳述者との共同作品である

    こちらの聞くことにだけ答えればよい式の予診で終わらない予診はよい予診。もっとも,昼食の時間を大幅に過ぎていて,こちらがイライラして来ると,一問一答的なやり口に。空腹・疲労・眠気は診察に向かない。

    [個人的に楽な予診は陳述者がしゃべることをきくだけで,必要な情報が得られる場合だと思う。当たり前だけども。でもなかなかそうはいかない。試行錯誤しているうちに「あ,そういえば」的な感じで陳述を得られたりする。空腹・疲労・眠気は最悪です。話を聞く作業には多大なエネルギーが注がれるということを忘れてはいけません。]

    6)簡潔な「主訴」を冒頭に

    予診をとり終えたら,全体を要約する意味で,短い「主訴」を予診者が記入しておくと,初診者はゲシュタルトが一挙につかめる。病名,症状ではなく具体的に。

    [うちの病院の予診カルテには主訴欄が一番最初にあり,本人と付添人とに欄が別れている。こうしてあると,本人はただ眠れないのに困っていて,付添人は食欲も落ちていて,仕事を休めないことが全ての原因と思っている様な場合に便利だと思う。]

    7)予診室の構造

    予診用に狭くともプライベートなスペースを望みたい。すぐ隣で別の予診がとられていて,その声が聞こえるという様な構造は望ましいことではない。

    [他の病院の構造がどうかよく分からないが,うちの病院では
    処置室|診察室1|診察室2|心理療法室
    という構造になっていて,それぞれのしきりには扉がついている。予診は処置室or心理療法室でとることがおおいが,どちらも診察室で少し大きな声で話をすると声が聞こえてきてしまう。できるだけ音がしない,声がしない空間でとりたいと思う一方で,そうなると逆に心配になるPt.もいるんだろうと思ったりする。諸処の条件が許すのであれば,できるだけ防音されて声が漏れない構造の場所で予診・診察・精神療法なんかはした方がいいとは思うけれども。]


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